ノーパットの旅 のバックアップの現在との差分(No.6)

「客観的なジャーナリストを自負する私は、本当にノーパットは世界が指摘するとおりの悪人なのかを確かめようとしてきた。しかし、その答えを得るために、自分が今にも戦禍に呑まれつつある場所を巡って世界を旅することになるとは知る由もなかった。私は彼らの物語を記録するようになり、それは次第に私自身の物語となっていった。これは私たちの旅なのだ」


ケイヴァン・バシール
ノーパット通信隊  

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     パート1 「ドーハからの脱出」

     パート2 「奇術」

     パート3「コヨーテ・ラン」

     パート4 「第三の勢力」

     パート5 「パイナップル・エクスプレス」

    パート6 「故郷に戻る唯一の道」 Edit

     パート6 「故郷に戻る唯一の道」

     例えば、あなたが銃弾による傷を負って戦地を逃れるときに、親切にも誰かが車に乗せてくれたとしよう。しかし、その者に行先を聞いてはいけない。こうして、私はロシアの「世界の果ての給油所」と呼ばれる南極の石油掘削基地に取り残されてしまった。

     長年、世界中のノーパットはロシアに石油を頼っていたが、状況が変わってきたのは明らかだ。ロシアとアメリカは対立している。我々が到着したと同じ頃、ロシアはノーパットへの石油供給停止を決定した。これを免れるには、ロシアに唯一の忠誠を誓うしかない。オズにとっては払いたくない代償だ。

    「ほとんど人質のようなものだ」、三週間前から自分の船が立ち往生しているスペシャリストのコンスタンティン・アンヘルは語った。「戦争が始まるぞ、友よ。誰もがそれを知っている」その言葉は予言のようだ。その直後、地平線上にアメリカの駆逐艦が現れ、クラクションが鳴り響いた。39年には海面が上昇し、各国はようやく南極の氷に手を出してはいけないことに気が付いた。ただし、ロシアだけは大陸を掘削から守るための国際条約を密かに破った。人里離れた科学施設が、ひっそりと一日4000バレルの原油を精製する工場になった。「アメリカがここを取りに来るのは時間の問題だ」とアンヘルは言う。「もちろんペンギンを救うためではない」

     そのうちに、ノーパットの船の多くがここで立ち往生し、忠誠を選んだ際の燃料提供について議論するようになる。寒さと孤独は身を滅ぼす。多くは条件を飲む。「短絡的な奴らだ。ノーパットはどちらの勢力につくかを選ぶべきではない」コンスタンティンは続ける。「第一次世界大戦中のポーランドのことを考えてみてくれ」彼らの国は150年間も地図に載っていなかった。ポーランド人の部隊は、混乱が収まったら、誰のためであれ、どんなことでも行った…自分たちが再び国を持てるように。戦争だけが唯一の帰路になることもある」と語った。

     

     最後の言葉。前にもオズから聞いたことがある。いわば、スローガンだった。しかし、今回は数千人が一つの旗のために戦うわけではない。ここにいるのは、団結の意志の乏しい12億人なのだノーパットはポーランド人じゃないし、いつ何が起きてもおかしくない状況だ。

     

    クラクションが鳴り始めると、スターバースト二個分の衝撃が岸辺から棚氷を揺らす。「カウボーイ」と「戦争」の二つを聞き取れるくらいにロシア語が分かるようになった。アメリカ艦は大砲で威嚇射撃をし、無線機から聞こえる自信に満ちた声でロシア軍に退避命令を出す。その時、船がオールド・グローリーではなく、ノーパットのエンブレムを掲げていることに気付いた。のちになって、オズが最も信頼する船長を送り込み、ロシアに力ずくで足止めされていたノーパットを救出していたことを知った。私はMFS-04 エクソダスと呼ばれる船に乗り込んだ難民の中に紛れ込んだ。アンヘルの言葉が耳に響く。関わりたくないも戦いが迫っているが、私はここで戦艦に乗っている。きっと、オズが正しいのだろう。戦争だけが故郷に戻る唯一の道だ。

    パート7 「経路変更」 Edit


    2042年10月10日

    シエラレオネ沖

     SMGS-04 エクソダスは、元アメリカ海兵隊員が指揮するアーレイ・バーク級の駆逐艦だ。そう、ノーパットは今、軍艦を航行している。それは、これから起こることの予兆であり、この冒険が終わる時が来たことを意味している。

     私は今、フリータウン港に停泊する前に兵舎で荷造りをしている。これからカイロに飛び、シンセコ・アグレテックのコーポレート・コミュニケーションのポジションで新しい生活を始める。昨年、壁に囲まれた農場の外で起きた暴動を私設軍隊を使って鎮圧したシンセコ。「金属音を立てるパイナップル」のシンセコだ。

     親愛なる読者の方々、すまない、もう終わりだ。命の危険を感じながら生きた13ヶ月間は、神経を痛めつけた。私はノーパットを理解したかった。しかし、ノーパットとして死にたいわけじゃない。今、この船から降りなければ、選択の余地はないだろう。私の母国は黄塵地帯だが、エジプトには再生の物語がある。38年、世界的な穀倉地帯が破城したとき、シンセコ・アグレテックはそれに代わる二つのパーツからなるシステムを完成させた。一つ目は、最も乾燥した気候でも成長する遺伝子組み換え作物。二つ目は、砂漠へ水を引く画期的な計画だ。

     シンセコがエジプトを未来の農場に選んだ理由は何か?「やる気のある労働力さ。エジプトは、ノーパットが『壁』の向こうで働くことを望む限り、そのレッテルを捨てて合法的に活動できる場所なんだ」と、現地に滞在経験のあるマケイは言う。

     だから私はこの仕事を引き受けた。ノーパットはもうたくさんだ。

     アフリカの海岸に向かって静かに航行していると、アンヘルとの会話が頭から離れなくなった。超大国が衝突の道を歩んでいる。ノーパットが絡むと、大きな犠牲を出す混沌とした戦争になりかねない。オズの最善の努力にもかかわらず、ノーパットは未だに様々な目的を持つ分裂したグループだ。もしそれらのグループが戦争の中に戦争を起こしてしまったら、すでに十分に苦しんでいる世界をさらに破壊するかもしれない。

     午後6:30頃、ようやく遠くにフリータウン港が見えてきた。私の計画を知っているのはラオだけだ。13ヶ月経った今、辞めることへの後悔もあるが、安心している。それは、船が岸から離れて北に向かって航行し始めるまでのことだった。こんなことはあり得ない。私は必死で、答えを探しながら橋まで走った。案の定、古い電信機が動き出し、オズからの新たな司令を暗号化しながら、私の代わりに決断を下している。そのあとすぐ、橋の方角へ向かう隊長が突然通り過ぎて行った。彼が扉を叩き付ける前に最後に聞こえたのは、フリータウン港が遠く離れて行くなかで無線から聞こえる不明瞭な声だった…

    「…新たな未来を手に入れるチャンスは一度のみ。我々はそのチャンスをモノにする…」

    パート8 「戦争の序曲」 Edit


    2042年10月20日

    地中海

     ロンドンは3フィート(約90センチ)の深さに水没した。破綻した国家の破綻した首都だ。オズがエクソダス号に経路を変更させた理由は謎のままだが、キンブル・「アイリッシュ」・グレーブズ大尉が一人で上陸し、負傷した海兵隊員とブリーフケースを回収し、合流指示を受け取り戻ってきた際には緊張が高まった。それは単純な受け渡し作戦のはずだったが、何かがアイリッシュの考えを変えたようだ。すぐに3機のコンドルからの曳光弾が甲板に浴びせられ、私たちはカテゴリー5の嵐の中に大急ぎで逃げた。爆発音が隠れていた私の鼓膜を突き刺した。ブリーフケースの中身は、この船に乗っている200人のノーパットよりも価値があるものだ。

     勇敢なタスクフォースが銃弾と榴散弾の飛び交う地獄絵図の中で戦っていたとき、甲板の下で私たちを遮っていた水密扉のヒンジが爆発した。血を浴びた兵士が突入してきて、奴らの目当てのものを見つけた。それは…アイリッシュの7歳の息子、オマーだった。

    「俺がオズと組んだのは、ノーパットが世界で居場所を得るためには団結する必要があるという考えに賛成したからだ」とアイリッシュはのちに説明してくれた。「だが、違ったのは、奴は旧世界が滅びなければそれが実現しないと考えていることだ。だからこそ、奴は戦争を望んでいる。アメリカとロシアは互いを焼き尽くすだろう。問題は、ノーパットもそれと一緒に燃え尽きてしまうことだ」その表情は硬くなり、2つのドッグタグを弄んでいる。「俺は海兵隊にいた頃、戦争による市民の犠牲を目の当たりにした…辞めたのには理由がある。

     オズとアイリッシュ、ノーパットの存続のために戦う2人の男。しかしその手段はまったく違っていた。一方はアメリカおよびロシアとの距離を取り、もう一方は積極的に彼らを操ろうとしていた。そして、ブリーフケースに入っていた情報は、ロシア人が欲しがっていたアメリカの秘密…超大国を全面戦争に引き込むためのエサだったのだ。オズの部下がアイリッシュの息子を奪ったあの戦いの夜に、何かが変わった。子供のノーパットが私を必要としていた。ラオ、アンヘル、ファルックたちが何をするか、そして自分が何をするべきかは分かっていた。私は兵士じゃないが、とにかく彼のあとを追った。その後、アメリカ兵のアイリッシュがロンドンで負傷させた、クレイトン・パコウスキーが手錠で担架に繋がれた状態ながら、助力を申し出る声を聞いた。彼は、この旅で出会ったスペシャリストたちと同じ表情をしていた。私は彼を解放した。彼の犠牲は後にアイリッシュの息子を救ったが、機密情報の漏洩を招く事態となった。

     

     この任務から一年後、私は求めていた答えを見つけた。ノーパットは、人々が言うところのすべて…密輸業者、罪人、聖人などを兼ね備えている。世界は「ノン・パトリエイテド」を生み出し、問題の責任を彼らに負わせた。だが今、このタスクフォースが、まさに世界を救う鍵となるかもしれない。煙が消えたとき、皆が隊長の目を見て感じた。オズが世界に火をつけるのを阻止しなければならない。アイリッシュは、海兵隊員からノーパットになったが、命令を受ける一人の兵士に過ぎなかった。そして今、彼は自分が人々を先導する必要があると考えていた。私は、アイリッシュが誰が答えるかわからない状況にもかかわらず、通信機で呼びかけているのをブリッジから見ていた。「この戦争を止める唯一の方法は、その渦中に飛び込むしかない…戦闘に備えろ!」


    パート8をアイリッシュ視点で描いたショートフィルム「エクソダス」

    コメント Edit

    最新の20件を表示しています。 コメントページを参照 画像を非表示

    • 仕方ないね -- 2021-12-26 (日) 07:54:49
    • つくづく思うけど、あれだけ良いキャラしてたパックをトレーラー内で再登場させてそのトレーラー内で即退場させる必要あったのかな。もしかして4の時みたいに何事もなかったかのように復活してスペシャリストとして登場したりして。パック好きだったからそうであってほしい -- 2021-12-22 (水) 11:02:46
      • 前作脇役が死ぬのはお約束みたいなもんだから -- 2022-01-14 (金) 00:25:10
      • パックは前作でも死んだと思ったら普通に生きてたりしたしワンちゃんまだ生きてる、、、と信じたい、、、 -- 2022-02-03 (木) 05:48:09
        • パックがスペシャリストとして出てきたらスキルは自力蘇生だな -- 2022-06-14 (火) 18:39:13
    • キャンペーン出せ -- 2022-08-17 (水) 21:05:40
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